ドイツ・フランス・ポーランドで製作された映画『ちいさな独裁者』。
ヴィリーヘロルトが巧みな嘘を用いて猟奇的な独裁者へと変貌していく様を描くこの映画は、ドイツの小さな街である「ゲルリッツ」が主なロケ地となりました。
ここではそんなドイツの田舎町「ゲルリッツ」に関する情報をお届けしていきます。
映画『ちいさな独裁者』の中でも多くのカットが登場するドイツの都市「ゲルリッツ(Görlitz)」。
ドイツ・ザクセン州のナイセ川流域に位置するゲルリッツの名前の由来は、スラブ語の「燃やされた土地」という意味に由来します。
そんなゲルリッツの街並みはどこか色彩が薄く、全体を見渡しても近未来的な建物はあまり見当たりません。
有名所ではこれまで『ちいさな独裁者』の他にも、『グランド・ブダペスト・ホテル(The Grand Budapest Hotel)』『やさしい本泥棒(The Book Thief)』
『イングロリアス・バスターズ(Inglourious Basterds)』などがこのゲルリッツを舞台に撮影されたことがあります。
また、アメリカのハリウッドにちなんで「ゲルリウッド」と称されることもあり、これら以外にも現在に至るまでのべ100作以上の映画撮影が行われてきました。
その中でも最もヒットした映画としてゲルリッツの名を世界に知らしめたのが、2015年にアカデミー賞で4部門でグランプリを手にした映画『グランド・ブタペスト・ホテル』。
本映画は1913年に開館した歴史的建造物であるゲルリッツデパートの中で撮影が行われるなど、劇中の随所でゲルリッツの美しい街並みがスクリーンに映し出されます。
また、あのアクション俳優ジャッキーチェンが主演したアドベンチャー映画『80デイズの世界一周(Around the World in 80 Days)』の撮影も、
ゲルリッツの知名度をさらに高めた作品の一つとして知られています。
この他にも本サイトでご紹介している『ちいさな独裁者』や、『やさしい本泥棒(The Book Thief)』『イングロリアス・バスターズ(Inglourious Basterds)』
などが撮影されるなど、ゲルリッツは数々の受賞作品を世に送り出してきました。
確かにゲルリッツには戦前のドイツの街が現存していると言っても過言ではないほどの古き良き風景が広がっており、映画のロケ地として重用されてきたのも納得です。
実際、ドイツの首都ベルリンで現存する歴史的建造物が1,500なのに対し、ゲルリッツではその倍以上である4,000に及ぶほど、戦前の文化が色濃く残る街です。
そして第二次世界大戦後にはナイセ川を国境として街の東半分がポーランド領になってしまうなど、複雑な時間を経験してきたゲルリッツ。
しかしポーランドが2007年にヨーロッパ諸国間での自由な国境の行き来を認めるシェンゲン協定に加盟して以来は、ナイセ川を通して自由に行き来することができるようになりました。
ドイツの中でも特徴的な歴史的帰趨を経て現在に至る「ゲルリッツ」を、皆さんもぜひ訪れてみてください。