大戦末期のドイツにおけるヘロルトの大量虐殺を描いた映画『ちいさな独裁者(Der Hauptmann)』。
史実をベースに製作された本映画は2017年にトロント国際映画祭で初上映されて以来、瞬く間に世界中から注目を集めました。
ここではそんな『ちいさな独裁者』の撮影に携わった監督・製作会社などの裏方に迫ります。
まず触れておかなければならないのが、本作の監督として脚本を手がけた「ロベルト・シュヴェンケ(Robert Schwentke)」。
シュヴェンケはまだドイツが東西に分断されていた1968年、西ドイツのシュトゥットガルトで誕生しました。
幼き日々を西ドイツで過ごした後、シュヴェンケは母国ドイツを離れて単身アメリカに留学。
ロサンゼルスの私立大学「コロンビア・カレッジ・ハリウッド(Columbia College Hollywood)」に進学し、1992年に卒業します。
そんなシュヴェンケが映画監督デビューを果たしたのは、2002年に公開された映画『タトゥー(Tatoo)』でのこと。
刺青のある皮膚を剥ぐ連続猟奇殺人を捜査する2人の刑事を描いたこの作品は、各映画祭で高い評価を受けています。
この映画でセンセーショナルなデビューを果たしたシュヴェンケは2005年に『フライトプラン(Flightplan)』を監督し、これが自身が初めて手がけるハリウッド作品となりました。
『フライトプラン』も同じくサスペンス映画だったこともあり、これらがシュヴェンケのキャリアの方向性を形作った作品だったと言えるでしょう。
そしてその後も『きみがぼくを見つけた日(The TimI Traveler’s Wife)』『ダイバージェントNEO(The Divergent Series: Insurgent)』など日本でも吹き替えられた人気作品を次々と監督。
満を持して2017年に監督・脚本として『ちいさな独裁者(Der Hauptmann)』に携わることになるのです。
『ちいさな独裁者』は複数の制作会社によって撮影された映画です。
☆『ちいさな独裁者』の制作会社一覧
ここではその中でもメインの制作会社となった「フィルムギャラリー451(Filmgaralarie451)」についてご紹介します。
フィルムギャラリーはドイツに拠点を置く映画撮影会社です。
当初ビデオショップとしてスタートしたフィルムギャラリー451の創業は1987年。
ビデオである『Die Jungfrauenmaschine(Virgin Machine)』が最初の作品となりました。
そして徐々に知名度を獲得する中、2003年からは映画製作にも力を注ぎ、『ちいさな独裁者』や『Stadt als Beute』など数多くの作品を世に送り出し続けています。
設立から35年にわたって競争の激しい映画製作界を生き抜いてきた事実は、フィルムギャラリー451が築き上げてきた確固たる実力を示しています。
そしてそんなフィルムギャラリー451の掲げるミッションは「質の高い、希少で優れた映画を発掘し、観客の皆様に提供すること」です。
『ちいさな独裁者』の世界的ヒットは、フィルムギャラリー451が持つこの映画製作への情熱によるものでもあると言えるでしょう。